おからのField note

生態学を専攻する博士課程の学生の日記です。野帳のようにつらつらつらと。

世界最小最強の食肉目、今日も飛ぶ、泳ぐ、襲う、そして食べられる

「キツツキに乗るイタチ」のニュースと写真は、瞬く間に世界中に飛んでまわった。

GreenWoodpeckerPlusOne

Photo of weasel attacking a woodpecker - Business Insider

 

weaselというと日本語ではイタチと訳すのでわけがわからなくなるけど、weaselとはイタチ科一般だったり、主にleast weaselのことを指し(追記:指すことが多いという印象。とりあえずオコジョを指すならstoatかermineの方が一般的で、それに対してイイズナはleast weaselまたはweasel)、イイズナを意味する。体重わずか200g程度の世界最小最強の食肉目。

 

このイイズナはアオゲラを食べようとして飛びかかったところ、アオゲラが飛んで逃げ出してしまったためにしばらくの間空中散歩を楽しんだ(?)様子。

最後は撮影者に気づいたイイズナが、アオゲラが不時着した際に逃げていったらしい。

 

 

イイズナには、こうやって自分よりも大きな動物を獲物にする大胆さというか無鉄砲さというか、がある。

主な餌はネズミで、果実を食べることもあるけれど、自分より体サイズの大きな鳥類やノウサギを食べたりすることは一般的に報告されている。

イタチ科一般に、とにかくがむしゃらに行動する傾向があるように思うけど(とくにイイズナ、オコジョ、ラーテル、クズリとか)、世界最小最強の食肉目であるイイズナのパワーとガッツとしつこさには驚かされる。

 

 

こちらの動画は、イイズナ(たぶん?)がカモメを泳いで襲っているところ。見ているこっちがおぼれそうになる。

www.youtube.com

 

 

 

これもあながちうそじゃない…ってこれはオコジョかな

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でもその無鉄砲さが、時に自らの命を落とすきっかけになることも…。

Little Hadham Birding: Demise of a weasel.

 

このイイズナはなにを思ったか(くちばしから食べようと思ったか)、サギに噛みついた…と思ったら、最後には逆に食べられてしまうという…。

 

 

イイズナがこれほどまでに小さくなったの理由のひとつには、ネズミの巣穴に入り込んで襲うことができるように、という説がある。

でもここまで無鉄砲な性格は、、どうなんだろう、個体差があるのかなあ。狩りのうまさ(成功率)でもまた程度が変わってきたりして。

 

 

とはいえヨーロッパとは全く比べ物にならないほど日本ではまだまだ研究が進んでいないイイズナ。紹介した写真はロンドン近郊での報告というのに驚いた。日本での主な生息地は山地付近というのが、研究が進まない理由として大きそうだ。いつか野外で見てみたいなあ。